この世の中には親と暮らすことができない子どもたちがいることは何となく分かった。でも、実際それってどういう理由があってなんだろう?この記事では、乳児院・児童養護施設・里親等の社会的養護施設に子どもたちが入所する理由を説明します。
社会的養護施設に入る理由
施設に入る理由は大きく分けて3つあります。①親がいないから入る、②親がいるけど入る、③親がいるからこそ入る、の3点です。
では、一つずつ説明していきます。
親がいないから入る
一つ目は、死別等でいっしょに住む家族がいないケースです。
昔でいうところの孤児院のような状況です。
たとえば、母子家庭で母が亡くなり、祖父母等の親族もいないというようなケースです。もちろん、突然死のパターンもありますが、片親家庭で親が入院していて入所するということもあります。
このケースは、後で説明する虐待等とは異なり、中学・高校というわりと高齢児での施設入所が多いです。
親がいるけど入る
二つ目は、経済的理由を中心としたケースです。
たとえば、母子家庭で母親が交際相手の身元保証人になっており、その借金を肩代わりしなくてはならないような状況に陥ってしまう等があります。
少々レアなケースにはなりますが、無国籍等の問題を抱えたケースもこのパターンに当てはまることがあります。
無国籍のこどもたち【外国にルーツのある子ども】
例えば、フィリピン国籍の母が不法滞在の状況下にあり、日本で出産したが役所への出生登録をしておらず、無国籍の状態になってしまうというような状況です。
こちらの本が非常に参考になります。
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親がいるからこそ入る
三つ目が、いわゆる児童虐待です。いっしょに暮らしている人が、子どもたちに虐待をおこない、「家庭的な生活」ができなくて施設に入ります。過度な表現かもしれませんが、少なくとも子どもたちにとっては、「親がいるからこそ」自宅で生活ができない状況です。
令和4年度の子ども家庭庁の調査によると、児童養護施設等に入所している児童の71.7%が虐待経験ありとなっております。
(参考:こども家庭庁『令和4年度児童養護施設児童等調査の概要』)
では、児童虐待とはどのような状況でしょうか?
虐待には4つの分類があります。(参考:児童虐待防止対策|こども家庭庁、令和5年度児童虐待相談対応件数)
以下の4つの虐待のうち、1つもしくは複数にわたって虐待を受けている。そういう子どもたちが施設に入所します。
身体的虐待
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
全体の22.9%です。
心理的虐待
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、こどもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティックバイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
全体の59.8%です。
性的虐待
こどもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
全体の1.1%です。
ただし、性的虐待は、被害者の告白のハードルが高く「沈黙の虐待」とも呼ばれており、実数はもっとあると考えられています。
ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
全体の16.2%です。
「虐待→施設入所」の割合
こうした理由で、乳児院・児童養護施設等の社会的養護関係施設には多くの子どもたちが入所しています。では、どのくらいの子どもたちが施設で生活しているのでしょうか。
225,509件
この数字は、令和5年度の1年間での児童虐待の相談件数です。
しかし、社会的養護施設の定員は約4万人(乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設の合算)です。もちろんこの数字はすでに生活している子どもたちを含む数字ですから、22万件の相談件数のうち、新しく入所できる割合というのは5%にも及びません。
95%以上の子どもたちは、再びお家に帰るのです。
逆に言うと、社会的養護の施設に入所する子どもたちというのは、それだけお家に帰ることができない深い理由があるということです。
まとめ
親と離れて暮らすということ。それを望む/望まないを問わず、一緒に暮らすことができない深い理由がそこにはあります。ただし、「親といっしょに暮らすことができない/暮らさないから不幸せだ」ということではありません。
そうした背景を抱える子どもたちが、胸を張ってそのことを受け入れることができるよう支援していくことが大切なのです。
参考図書・動画
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参考動画:THE THREE FLAGS-希望の狼狽-「01【児童養護施設出身者の声】社会的養護の入り口 -児童養護施設に入るまで-」



